3.適合高専賃は一般の高専賃とはどう違うのか?
それでは、次に適合高専賃は一般の高専賃とどう違うのでしょうか?
結論からいうと、
適合高専賃は介護保険法で定められた「特定施設」である点で異なります!
(☆有料老人ホームに該当する高専賃も「特定施設」になります!)
「えっ介護保険法の特定施設?やっぱり介護保険が適用される施設のことなのか。」
そう思われる方もいらっしゃると思いますが、必ずしもそうとは限りません。
そこで、この点の根拠を確認していきましょう。
さきほど適合高齢者専用賃貸住宅の基準として介護保険法施行規則第15条3号を見ましたが、15条全文を見ると次のように書いてあります。
法第8条第11項の厚生労働省令で定める施設は、次のとおりとする。
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)第4条の規定により登録されている賃貸住宅のうち、厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事に届け出られているもの(以下「適合高齢者専用賃貸住宅」という)
つまり、法第8条第11項の「厚生労働省令で定める施設」の1つとして適合高専賃が記載されていることになります。
「ん? 法第8条第11項って何だ?」
そう疑問に思われると思いますので、介護保険法第8条第11項を見てみましょう。
この法律において「特定施設」とは、有料老人ホームその他厚生労働省令で定める施設であって、第19項に規定する地域密着型特定施設でないものをいい、 「特定施設入居者生活介護」とは、特定施設に入居している要介護者について、当該特定施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令 で定める事項を定めた計画に基づき行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの、機能訓練及び療養上の 世話をいう。
この条文を見ておわかりになると思いますが、介護保険法はこの規定で「特定施設」というものを定義しています。その中に、「厚生労働省令で定める施設」という文言があり、この内容を規定したものが、さきほどの介護保険法施行規則第15条ということになります。
したがって、適合高専賃は、「厚生労働省令で定める施設」の1つであり、「厚生労働省令で定める施設」は、介護保険法に定める「特定施設」に該当するという結論になるわけです。
4.特定施設だと何が違うのか?
「やっぱり介護保険が適用されるんでしょ。」
そう思われるかもしれませんが早とちりしてはいけません。
それは「特定施設」というだけでは、必ずしも介護が一体として提供されるわけではないからです。 介護保険が適用されるのは、特定施設の中でも、特定施設入居者生活介護事業者として指定を受けている場合に限られます。
適合高専賃は、特定施設入居者生活介護事業者の指定を受けられる対象となっておりますが、その多くはこの指定申請まで行っていないのが現状です。
「では、特定施設である適合高専賃は何か特別な違いはあるの?」
という疑問が湧いてきます。
この答えは YES です。
それは介護保険法の住所地特例の対象になる点です。
住所地特例についてはまたの機会にご説明いたします。
5.最後に
もう皆さん最初の質問の解答はおわかりと思いますが参考まで。
『適合高齢者専用賃貸住宅は、介護保険法に定める特定施設です。 しかしながら、介護保険サービスが一体として提供され、要介護者でなければ入れないといった施設とは限りません。』