よくわかる適合高専賃の制度解説 No.2

適合高専賃とは何か?

まず「適合高専賃」という言葉について考えてみましょう。
これは業界の方がよく使う略称ですが、正式には「適合高齢者専用賃貸住宅」と言います。

この名称から

「何らかの基準に適合した高齢者専用賃貸住宅というものであろう」

ということは容易に想像がつくと思います。

そこで次に、その「何らかの基準」というものは、「誰が」定めた「どのような基準」なのかということが気になります。

そこで、その根拠を確認してみましょう!

少しむずかしく思えるかもしれませんが、次の根拠となる条文を確認することが大切です。

介護保険法施行規則第15条3号 (→条文:総務省法令データ提供システム)
高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)第4条の規定により登録されている賃貸住宅のうち、厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事に届け出られているもの(以下「適合高齢者専用賃貸住宅」という)

後半の記述から「厚生労働大臣」が定める「何らかの基準」であることがわかると思います。

したがって、適合高専賃というものは、「厚生労働大臣が定める基準に適合したもの」であることが明らかになりました。

ではいったいその基準とは何か?

これは厚生労働省告示に規定されているので見てみましょう。

【平成18年3月31日厚生労働省告示第264号】
介護保険法施行規則第15条第3号及び老人福祉法施行規則第20条の4の厚生労働大臣が定める基準

  1. 高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則第3条第6号に規定する高齢者専用賃貸住宅であること
  2. 各戸が床面積(共同住宅にあっては、共用部分の床面積を除く。)25平方メートル(居間、食堂、台所その他の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合にあっては18平方メートル)以上であること。
  3. 原則として、各戸が台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えたものであること。ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備又は浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保させる場合にあっては、各戸が台所、収納設備又は浴室を備えたものであることを要しないものとすることができる。
  4. 高齢者の居住の安定確保に関する法律第58条第7号の必要な保全措置が講じられているものであること。
  5. 入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供、洗濯、掃除等の家事又は健康管理をする事業を行う賃貸住宅であること

上記の基準が厚生労働大臣が定める基準となります。

したがって、厚生労働大臣の定めた上記基準を満たしたものが適合高齢者専用賃貸住宅になりそうですが、さきほどの条文で見落としてはならない条件が入っています。

ここがポイント!

ポイントは、後半の「厚生労働大臣が定める基準に適合する」に続く「都道府県知事に届け出られているもの」という要件です。
つまり、「厚生労働大臣が定める基準に適合するもの」という基準を満たすだけでは不十分で、届け出がなされてはじめて適合高齢者専用賃貸住宅となることになります。

したがって、高齢者専用賃貸住宅で基準を満たしているだけの住宅は適合高専賃ではないということにご注意ください。