高齢者の居住の安定確保に関する法律 改正前の高齢者向け住宅とは?
サービス付き高齢者向け住宅の具体的内容について、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年四月六日法律第二十六号)等の一部を改正する法律(平成二十三年四月二十八日法律第三十二号・ 平成二十三年十月施行)以前に定められた、高齢者向けの住まいについて復習することから見ていきます。
- 下記、これまでの制度説明。
- 『高齢者専用賃貸住宅とは』
- 『適合高齢者専用賃貸住宅とは』
- 『高齢者向け賃貸住宅の選別フローチャート』
さて、お読み頂くと何となくご理解いただけるかと思いますが、高齢者の居住の安定確保に関する法律に定義される高齢者向けの住宅、老人福祉法に定義される有料老人ホームや施設、さらにはそれら住宅や施設における介護保険法との関係。高齢者の住まい等が、複雑多岐にわたり、理解しにくいことがお解り頂けると思います。
【高齢者の居住の安定確保に関する法律改正前の 高齢者向け住宅】
赤枠 介護保険法に定められた「特定施設」
斜線 介護保険法に定められた介護付の特定施設
網掛 法律に定められた届出、許可等をしていない未届けホーム
【高齢者の居住の安定確保に関する法律改正前の 高齢者向け住宅の基準】
高円賃 | 高専賃 | 適合高専賃 | 高優賃 | |
入居者 | 高齢者の入居を拒まないだけで、特に制限はない | 高齢者又は当該高齢者と同居するその配偶者 | 高齢者又は当該高齢者と同居するその配偶者 | 60歳以上の単身・夫婦世帯の方等 |
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戸数 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 5戸以上。(改良により供給する場合は、10年以内に5戸以上とする) |
規模 | 1戸当たりの床面積は原則25㎡以上 (居間、食堂、台所等、高齢者が共同して利用するために十分な面積を有する共用設備がある場合は18㎡以上) |
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構造 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 原則として耐火構造または準耐火構造。 |
設備等 | 原則として各戸に台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を設置 (共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備、浴室を備えた場合は、各戸が水洗便所と洗面設備を備えていれば可) |
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住戸内基準 (バリアフリーの基準) |
制限なし | 制限なし | 制限なし | 高齢者の身体機能の低下に対応した構造及び設備。 |
サービス | 制限なし | 制限なし | 入浴、排泄もしくは食事の介護、食事の提供、洗濯、掃除等の家事又は健康管理を実施 | 緊急時に対応したサービス |
契約関連 | 前払家賃等(前払家賃、サービス対価前払金、敷金以外の一時金)を受領する場合、前払家賃等の算定の基礎を書面で明示し、かつ、保全措置が講じられていること。 賃貸条件型サービスを提供する契約を締結する場合、住宅に係る賃貸借契約とは別に、提供されるサービス内容及びその対価として受領する金銭の概算額が書面で明示された契約を締結しなければならない。 |
管理期間:10年以上。 的確な管理:1)公募原則 2)抽選等公正な方法による入居者の選定 3)計画的な修繕 4)適切な事業経営計画 |
高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年四月六日法律第二十六号)等の一部を改正する法律(平成二十三年四月二十八日法律第三十二号・ 平成二十三年十月施行)で定められた、サービス付き高齢者向け住宅が誕生するまでは、上記のような基準から、いたれり尽くせりのハイグレードな住宅から、ボロボロの木造アパートまで、まさに玉石混淆といえる状況がそこに生み出されていました。
高円賃、高専賃という言葉が与える高齢者にやさしい住宅のイメージとは、かけ離れた住宅があったのも周知の事実です。
法律改正で定められた、サービス付き高齢者向け住宅は、関係法律との調整をとりながら、より解りやすく、これら問題を解決したものとなっています。
それでは、次に具体的に、サービス付き高齢者向け住宅についてご説明します。